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国際規格の解説

■IEC82079-1:2019の解説シリーズ■第4回
「序文」の解説

株式会社明祥のテクニカルライター、水野です。

シリーズ連載「IEC82079-1:2019の解説」も第4回となりました。
第2回、第3回は2012年版からの変更点について解説しましたが、今回から2019年版の内容について解説していきたいと思います。

まずは、2019年版で新たに追加された「序文」について、内容とそこから読み取れることについて解説していきます。

なお、本記事は、この規格についての当社の見解・解釈を解説したものです。
規格の正確な内容・記述については、原文を参照してください。

序文で述べられていること

IEC82079-1:2019では、序文が新たに追加されました。
この序文では、大きく2つのことを述べています。

1つは“使用情報”についてで、 その重要性、概念や考え方について説明しています。
そして、もう1つはこの規格についてで、規格の立ち位置、対象となる製品や人について説明しています。

この序文は、その後の本編での要求事項の下地となっている背景や、使用情報を取り巻く状況を説明しており、本編を理解するうえで、この序文は読み飛ばせない内容であると感じます。

では、この序文について、「使用情報が持つ重要性」、「使用情報の種類と成果物」、「規格の対象」という3つの内容で解説していきたいと思います。

使用情報が持つ重要性

まず、序文の冒頭では、製品を安全に、かつ効果的・効率的に使用するために、多くの人は使用情報に依存しているという背景を挙げて、使用情報の重要性に言及しています。
この内容からは、使用情報は多くの人にとって必要不可欠である非常に重要な情報であるということが読み取れると思います。

使用情報への依存については、「指導員の教育訓練を受けていない,又は機能が完全に直感的でなければ」という条件が付与されています。
これは、“使用情報を全く必要とせずに使いこなすことができる製品があるかどうか”ということを考えれば、ほとんどの製品において、製品を利用する人は使用情報が必要であると解釈できます。

序文は、続けて使用情報の品質がもたらす影響について触れており、使用情報の品質が悪ければ、製品を使う人に不満を感じさせてしまったり、使用情報が間違っていれば、製品の供給元などが告発や賠償請求を受けてしまう可能性があることを説明しています。

裏を返せば、使用情報は、製品を使う人に不満を感じさせないように作る必要があり、また、告発や賠償請求を受けないように正しい情報を提供しなければならない、ということが読み取れます。

使用情報の種類と成果物

序文は次に、使用情報の種類とその成果物について説明しています。

使用情報の対象者が、製品を安全に、かつ効果的・効率的に使用するにあたり、使用情報は次の3種類の情報で構成されることを述べています。

  • ・概念情報:理解する必要がある概念の情報(製品の概念や安全上の注意事項など)
  • ・指示情報:従う、または考慮する情報(操作手順や警告メッセージなど)
  • ・参照情報:必要なときに参考となる情報(トラブルシューティングなど)

これらの3つの情報は、製品の開発を経てさまざまな形で対象者に提供されますが、その成果物の例も挙げられています。

取扱説明書はその代表的な例ですし、トラブルシューティングを目的としたQ&Aもその1つです。
また、「機能記述」が例として挙げられており、これによって、製品を紹介するカタログやWEBページ上の機能紹介も、使用情報として提供される情報と解釈することができます。

規格の対象

この序文では、規格の対象についても言及しています。
規格の対象については「第1節 適用範囲」でも規定されていますが、序文では概要的な内容、第1節ではそれを受けて適用範囲の具体例を挙げています。

まず、使用情報に関する要求事項は、他の規格でも規定されているということを述べています。
この他の規格とは、グループ安全規格(タイプB規格)や製品安全規格(タイプC規格)を指しています。

それに対し、IEC82079-1:2019については次のとおりに記載しています。

この内容を読み解くと、グループ安全規格や製品安全規格は使用情報について部分的な要求事項を規定しており、一方でIEC82079-1:2019は、すべての製品や使用情報が対象であり、使用情報に対する要求事項を網羅していますよ、という解釈ができるかと思います。

このことは、次の記載からも言えるのではないでしょうか。

(なお、この内容は第1回の記事でも触れていますので、ご参照ください。)

さて、ここで私が大事だと思うポイントは「利用者に伝えるための」という点です。
この文章は、「使用情報は利用者に伝わらなければならない」と言い換えられるのではないかと思います。

例えば取扱説明書には、製品の操作方法だけではなく、その注意事項や製品の仕様など非常に多くの内容が記載されており、そのどれもが重要な情報だと言えます。

しかし、製品のユーザー全員がその内容を最初から最後まですべてに目を通し、頭に入れてから製品を使うということはありませんよね。

そのような状況を踏まえて「利用者に伝えるため」ということを考えると、「製品のユーザーは取説を読んでくれるだろう。だからとりあえず書いておこう」ということではなく、「この操作に必要な情報は注意事項を含めてこれだけあるから、操作するときにきちんと把握できるように内容を構成しよう」ということが求められていることが推測できると思います。

最後に、序文の終わりで述べられている、IEC82079-1:2019の対象となる内容について解説します。
ここでは次の5つについて述べられています。

  • ・情報の内容(概念情報、指示情報、参照情報)
  • ・使用情報の提供方法(媒体)
  • ・使用情報を構成する言語、文章、図表や記号、そしてオーディオやビデオなどについての効果的な使い方
  • ・使用情報を作成するための準備についての、プロセスと力量
  • ・規格の要求事項を満たしているかの評価手段

これら5つの内容は、序文に続く規格の本文でそれぞれ要求事項が規定されています。

第4回の解説はここまでとなります。

いかがでしたでしょうか。

「序文」に書かれている内容は少ないうえに規格の本文と内容が重複している部分もあるため、あまり重要でないと思われることもありそうです。
しかし、個人的には、この序文によって規格が発行された背景、重要性や立ち位置が分かり、それによって“なぜこのような要求事項が規定されているのか”ということを理解できたと感じます。
「序文も規格の一部、重要な内容である」ということを思った次第です。

次回は、「第1節 適用範囲」について解説いたします。

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